家族を見送るときは、盛大な葬式で送り出したいと考える人もいますが、この頃は家族だけで送る家族葬というスタイルを選ぶ人も増えています。
そして、今後さらに増えるであろうと言われているのが、葬式も行わず、お墓も建てないという選択をする人たちです。
自分が亡くなったあとのことなので、生前に準備したり親族と話し合いが十分にできていれば理想ですが、それが不十分だともめてしまうことも考えられます。
たとえば夫婦で「葬式はしない」と決めていたのに、親族に理解されずに家族間トラブルになってしまったケースもあります。
自分の命の終焉のときに、大切な家族がもめてしまうなんて悲しいですよね。
そんなトラブルを回避するために、何を準備するべきなのか考えてみましょう。
夫婦だけの問題ではない
結婚式を挙げないカップルが増えたときにも、「結婚は二人だけのものではない」という人が多かったことは記憶しています。
結婚は家と家とがつながり、親戚同士になるので、結婚式もしないままではダメだという人たちが少なくありませんでした。
今でこそ、結婚式を挙げないのも普通に受け入れられる時代になりましたが、理解されるまでにはかなりの時間が必要だったのです。
家族だけで葬式を行うこと、さらには葬式はしないで火葬のみというかたちは、冠婚葬祭を大切に考える価値観をもつ地域や世代には、まったく受け入れられないかも知れません。
たとえ夫婦の間で時間をかけて話し合い、お互いの生涯の終え方について理解し合っていたとしても、それが双方の親族に受け入れられないことも十分に予測できることなのです。
終活ノートだけでは不十分
自分が亡くなった後のことを細かく記しておくために終活ノート(エンディングノート)を書き始めたという人は50代以降に増えてきました。
とくに家族に迷惑をかけたくない人は、こと細かに書いているので、遺族はとても助かると思います。
夫婦で終活について話し合い、葬式もなくお墓も建てないと決めた場合は、終活ノートに書いておけば大丈夫と思っていませんか?
そこに書かれていることは、故人の希望なので尊重されるべきでしょう。
と・こ・ろ・が・・・・
そう簡単にはいかないのですよ。
本人の希望なのに?
葬式をしないなんて
世間体が悪いってことでしょ
そんなこと
いまどき気にするのかな
あまいな
葬式しないなんて言ったら
大騒ぎになるよ
大騒ぎというのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、夫(妻)の親族の立場になればすんなり受け入れられないのは仕方ないでしょう。
葬式というのは、故人のためだけじゃなく、残された遺族にとっても、お別れの気持ちを整えるための大切な儀式です。
その大切なお別れの儀式がないと、気持ちに整理がつかないのでしょう。
終活ノートに「葬式はしない、お墓も建てるつもりはない」と書いてあったとしても、それをすんなり受け入れてもらえないと、残されたパートナーへの風当たりが強くなるのです。
親族に理解を求める方法
日頃から親族とあまり付き合いがなければ、とくにもめることもないと考えているかも知れませんが、それは違います。
日頃の親戚付き合いが薄くても、やはり冠婚葬祭に関してはうるさく言う人はいるものです。
終活ノートに書いても、それだけで理解されると思わない方が良いのです。
もしも年末年始やお盆休みなど、定期的にても顔を会わせる機会があるのなら、そういう時に自分の口からきちんと説明しておきましょう。
その説明には「なぜ葬式をしないのか、お墓を建てないのか」という自分の考えや理由が必要です。
理由の説明もなければ、家族としては寂しく感じるのは当然ですし、納得できない気持ちからイライラしたり怒りが湧くこともあるのです。
「どうせ話してもわかってもらえない」と思わずに、自分の考えを落ち着いて伝える機会を持つことは大切ではないでしょうか。
直接話して説明しても、それでも理解されないかも知れませんが、終活ノートをいきなり見せられるだけよりも、受け入れようと努力してくれる可能性は高くなるでしょう。
本人の希望だとわかっているので、残されたパートナーへの風当たりが強くなることも防げると思います。
まとめ
終活ノートを残すことは、とても良いと思いますが、それだけですべてが伝わるわけではありません。
もしも葬式をしない理由を直接話して伝えられないのであれば、せめて終活ノートに理由や考えを丁寧に書き残すようにしましょう。
それが大切なパートナーや家族への思いやりですよね。