日本では離婚後に非同居の親からの養育費の支払いがされていない割合がとても高く、母子家庭においては2割ほどしか養育費を受けていないという衝撃のデータがあります。
そのことにおいては、子どもの貧困に原因とも言われ、社会問題になっていますが、あくまでも夫婦間で協議することが前提となっていることから、根本的な解決はされてきませんでした。
養育費について新たな法律が必要ではないかという動きも出ていますが、まだ国会で本格的な議論にはなっていません。
ところが、ここにきて「法定養育費」という見出しのニュースを目にすることが増えてきました。
これはいったいどういうものなのでしょう。
法定養育費なるものがあれば、養育費逃れは防ぐことが可能になるのか気になるところです。
法定養育費とは
法定養育費とは、離婚後の子供の養育に関する法的なルールが変わることで新たに設定されることになったことです。
離婚後共同親権と同時に議論が進められ、具体的な法定養育費の額の議論が始まっています。
衆議院法務委員会での法定養育費にかかわる議論
日本では8割が養育費の支払いをしていないという衝撃の統計結果もありますから、法定養育費を設定することは子供の貧困を防ぐためにも多少は役立ちそうなのですが、法律としてはそれほど強いものではないような気がします。
リンク先の法務省の資料を確認してみると、あくまでも双方の協議で取り決めがなされなくても請求できることになったのが法定養育費ということ。
しかし、法定養育費の支払いがされない場合、財産の差し押さえ請求などの手続きはしなければならず、もしも差し押さえる財産や給与所得などがなければそれ以上の効力があるのか疑問です。
これに対しては、一部の野党から立替をするという法案が提出されていますが、まだ議論の俎上にも乗っていません。
他の税金などのように、未払いに対して行政が取立てをることもないので、どこまで有効なのかわからないのが現状です。
法定養育費の金額
現時点で法務省が省令案として発表した法定養育費の金額は子供1人あたり2万円です。
2005年8月時点での案であり、今後はパブリックコメントから勘案されて正式な金額が決定される流れとなるようです。
養育費の取り決めがされていない、家庭裁判所で調停中でも請求することができる法定養育費ですが、この金額が発表されたとき、世間ではかなり波紋が広がりました。
それは、法定養育費の金額が基準になってしまうことへの懸念です。
例えば今現在、養育費として子供1人3万円の取り決めをしていた場合、支払い義務がある別居親が「法定養育費が2万円なんだから、これからは2万円に減す」と言い出すことが考えられるのです。
養育費の金額を調停で決める場合には、同居親、別居親の収入から算出されるのが基本です。
収入の変動があり、養育費の変額をするための調停もありますが、一度決めた養育費を変えるために家庭裁判所へ申し立てて調停するケースはかなり少ないのが現状です。
しかも収入減したわけでもなく、ただ「法定養育費が2万円だから養育費を減らしたい」という申立てが通るわけはないのですが、協議で取り決めた場合は一方的に2万円にされてしまう恐れもありますね。
8割が養育費を受け取っていないような現状ですから、法的効力のある法定養育費によって救われる人が増えるのを期待する一方、法的効力をもっと高めた養育費の制度を望むのは私だけではないと思います。
子どもの貧困
今、この国では貧困に苦しむ子供が急増しています。
潜在的貧困という、表に見えない貧困が多いのですが、その多くがひとり親世帯です。
9人に1人の子供が貧困に苦しみ、長期の休みで給食が食べられないと痩せてしまうなどという信じがたいことが起きています。
養育費を払わない親から何としてでも支払わせる制度はもちろん必要だと思いますが、子育て世代はいわゆる就職氷河期世代が大半なので、低賃金で不安定な雇用形態で収入が安定せず、払いたくても払えないというケースもあるのではないでしょうか。
ひとり親世代の貧困を減らすためには、非正規雇用ではなく安定して働けるような状況が必要なのではないかと考えずにはいられません。


