アタッチメントというのは、付着、連結、接続、取り付けというような意味で使われる言葉です。
しかしこれが心理学では「愛着」という意味として使われています。
愛着とは慣れ親しんだ物、環境、人物に対して使いますが、心理学のアタッチメントでは愛着の対象は人物として考えられています。
最近、アタッチメントタイプ、アタッチメントスタイルという表現を目にするようになりました。
アタッチメントタイプが人間関係を診断する上で判断材料になるのか見ていきましょう。
アタッチメントの基本の意味
アタッチメントは愛着のことですが、具体的には安心できる対象のことを指しています。
それはつまり、自分が不安や恐怖を感じたときに、誰かにくっついていると安心するというようなことです。
くっ付く・・からアタッチメントなんですね。
幼い子供であれば、両親や祖父母や兄や姉のように常に自分を守ってくれる存在です。
例えば、乳幼児は保護者から離れるだけでも大声を上げて泣き叫ぶことがあります。
これは自分を守ってくれる存在と離れる=身の危険を本能的に感じるから泣くのです。
保育園や幼稚園に入園したばかりの子供は、保護者と離れる時に大泣きすることがありますが、徐々に親と離れても保育園や幼稚園の中では安全であるとわかるようになり、泣くこともなくなってきます。
つまりアタッチメントは、不安や恐怖から自分を守るための愛着ということなのですね。
アタッチメントの3つのタイプ
幼少期にアタッチメントは、ほぼ親など身近な存在が対象になりますが、大人になると人間関係が広がりますから、対象も変化します。
そして、成長過程で経験したさまざまなことから、アタッチメントのタイプは大きく3つに分類されていきます。
安定型
人とのかかわりを心地よく感じて、密接な距離感を築くことにも抵抗なく、親しい人間関係に安定した感情を持てるタイプ。
このタイプは、幼少期に自分への愛情を感じ、絶対的な信頼を寄せられる相手が存在したというケースが多いようです。
自分は裏切られない、傷つけられない、置き去りにされないという安心の中で成長したことで、人との関係性に恐れや不安を抱きにくいのではないでしょうか。
不安型
人との関係を築く上で、常に人の顔色を気にしてしまい不安を感じやすいタイプ。
このタイプはいわゆるHSPに多く、成長過程の環境プラス、人の感情を察知しやすい気質によるものも大きいのだと考えられます。
密接な人間関係を欲しているのにもかかわらず、自分が相手にどう思われているのかを常に気にしてしまうので疲れやすかったり、密接な関係を作る前に関係が壊れやすい傾向があります。
幼少期に大人の顔色を見て育ったことも影響しますので、HSP気質ではなくても不安型になることもあります。
回避型
自分のことを見せようとせず、人間関係には一定の距離感を保とうとするタイプです。
幼少期に愛情を注がれなかったり、絶対的に信頼していた対象から見捨てられるようなことを経験したりすると、人と密接な関係を作ることが怖くなり、一定の距離を保とうとします。
近寄る人からは遠ざかるため、孤独に陥りやすいのですが、本心ではアタッチメントを求めているため不安や恐怖に怯えています。
それを見せずに隠してしまいます。
愛着障害
アタッチメントタイプ、アタッチメントスタイルと呼ばれるのは、愛着の特徴、クセのようなものです。
安定、不安、回避のいずれのタイプでも、人間関係に大きなトラブルや問題を起こさずに大半の人は暮らしています。
しかし、不安が強くなって愛着から執着に変わってしまったりするとトラブルを起こすこともあります。
メンタルを病んでしまう原因を生んでしまえば、日常の暮らしを営むことも困難になってしまうかも知れません。
幼少期の経験から、アタッチメントタイプのクセが強くなっているのであれば、これからのコミュニケーションによって安定させることも不可能ではありません。
そのためには、信頼できる人に対してのアタッチメントです。
絶対に!100%の信頼!というのは、血縁関係でもありません。
人間関係に絶対はないのです。
そこをまず理解したうえでどこまで信頼すればいいのか考えてみましょう。
まとめ
相手を信頼できるかどうか、それがアタッチメントタイプに大きく影響すると考えると、相手にばかり求めるのではなく自分自身も人から信頼されるように努力しなければならないのだと思います。
とくに回避型の人(筆者もこれを自覚しています)は、裏切られるのが怖いので人との距離を保とうとするわけですが、それは自分だけに限ったことではないのだと理解しなければなりませんね。