息子夫婦、または娘夫婦が離婚することになり、幼い孫を一人で育てるのは無理なのではないか・・・と心配する祖父母が増えています。
祖父母としては、可愛くて仕方のない孫のことが何よりも気がかりでしょう。
それに、ニュースなどでよく見る子供が犠牲になる事件も、さらに心配を大きくしてしまうと思います。
まだ若いおじいちゃん、おばあちゃんなら、親代わりとして孫を育てることを考えるのもわかります。
一時的に孫を預かるだけではなく、自分たちが引き取ることを考えているのなら、その前に様々な問題について確認しておく必要があります。
娘や息子の仕事の都合などで、短期間だけ預かるようなケースとは違います。
きちんと話し合って決めなければいけないことがあるので、焦らずに準備してください。
では、具体的にどのようなことを考えておく必要があるのか、見ていきましょう。
孫を引き取る理由
孫を手元に置いて育てようと考えるのは、どのようなタイミングが多いと思いますか?
主なきっかけは離婚と再婚です。
孫を引き取る決意をさせるのは、どのような状況なのでしょうか。
衝動的な離婚
娘や息子が急に別れることになれば、孫の生活が激変します。
今まで暮らしてきた家を出なければならなくなった場合は、一時的にでも孫を実家に引き取ろうと考えるケースは多いでしょう。
核家族化しているので、実家には祖父母しか暮らしていないケースも増えているので、気兼ねなく戻れる環境があれば、一番安心できるからでしょう。
もしも実家に兄嫁などが同居していれば、孫だけだとしても引き取るのは難しいかも知れません。
離婚後の生活の目途が立つまでの一時的な避難先として、孫を引き取る場合は、娘や息子も一緒に実家で暮らすパターンもあります。
結局はそのまま実家で長く暮らし続けることになったとしても、三世代が平和に暮らせるのなら問題ありません。
それが許される環境であれば、お孫さんには安心できる場所ですよね。
親の健康上の問題
ひとり親世帯は、仕事と家事と育児の負担が一気に一人の親にのしかかるので、身体を壊してしまい、子供の養育が十分にできなくなることもあります。
子供との生活を維持するために、ダブルワークやトリプルワークで寝る間を削っていたりすれば、身体を壊しやすいでしょう。
とくにシングルマザーの方が、激務をこなしても生活がカツカツで、無理をしやすいので、働けなくなってしまうほど心身ともに疲弊してしまうこともあります。
親としても、祖父母としても、手助けせずにいられない気持ちになると思います。
離婚に反対していた場合、実家を頼れずに無理をしてしまうケースがあるので、自分たちが追い込んでしまったという罪悪感から、孫を引き取ろうと考える方もいらっしゃいます。
経済的な問題
経済的にサポートし続けるのなら、いっそ自分たちの手元に引き取りたいと考えるのは自然な流れでしょう。
養育費をまともに受け取れないとか、幼い子供を育てながら非正規で働いても生活が苦しいなど、やはり現実は厳しいものです。
祖父母世代が金銭的に余裕があるのなら、引き取らずに援助し続けることも可能でしょうが、手元に居てくれた方が安心できますよね。
再婚相手と孫との相性
祖父母が孫だけを引き取って、自分たちが育てようと考えるきっかけとして、娘や息子の再婚は大きいと思います。
再婚相手と孫がとても仲良くしているのなら、すぐに引き取ろうとは考えないと思いますが、孫の年齢が小学校中学年以上になっていると、打ち解けるのに時間もかかります。
余計な気を使って生活するくらいなら、自分たちが引き取った方がみんなが幸せになれると考えるのも理解できます。
ちなみに私のこのパターンでした。
再婚は息子が17歳になる時です。
母親の再婚に反対もしていなかったし、再婚相手のことを嫌っているわけでもなかったのですが、思春期の男の子にとって、他人の男と一緒に暮らすのは抵抗があったようです。
幼い頃から実家の両親のサポートを受けて母子家庭をしてきた私たち親子にとって、息子が実家で暮らすと決めたのは、とくに驚きませんでした。
再婚相手への不信感
娘や息子が選んだ人だとしても、孫のことを考えると簡単に信用できないと考えるのは、今の世の中を見れば当然だと思います。
親の再婚相手から虐待を受けて、命を失うようなニュースは後を絶ちません。
愛しい孫のことを考えると、簡単に再婚相手を信じられないでしょう。
他人の子供を愛情をもって育てるのは、想像以上に難しいことなのです。
孫が居心地の悪い環境で我慢しながら生活することになるとは限りませんが、悲しい結果になってから後悔しても遅いので、娘や息子の再婚を機に孫を引き取りたいと本気で考えるケースが増えているようですね。
孫を引き取る前に話し合うこと
孫だけを自分たちの家に引き取ることを考えているのなら、家族みんなで時間をかけて話し合う機会を必ず作りましょう。
自分たちだけの考え決められることではありません。
一番に考えなければいけないのは、孫の希望です。
親と離れたいわけではないが、再婚する人と一緒に暮らすのは・・・と思っているのかも知れません。
それとも、本心では親の再婚を反対しているのかも知れません。
まずは自分がどうしたいのか、ゆっくりと話を聞いてあげましょう。
そして、親子関係でもトラブルになりやすい金銭面のことも話し合っておくべきです。
孫を引き取るということは、養育のためにお金を使うわけですが、娘や息子は負担するつもりがあるのかどうか。
そういう問題を曖昧にしてしまうと、後から大きなトラブルになり兼ねないので、あやふやなままにせずにしっかりルールを決めましょう。
たとえば、養育費を受け取っている場合は、そのままにするのはオカシナ話です。
そういう問題をクリアしておかないと、孫が可愛いだけでは済まされないと思います。
孫には何の責任もないのに、親との金銭問題で祖父母の家では居心地が悪くなってしまうケースもあります。
結果として、守りたかったはずの孫が一番の被害者になってしまうのです。
そんな結末を避けるためにも、実の親子でも曖昧にせず、養育にかかる費用の負担はしっかりルールを決めておくべきでしょう。
孫を養子として迎える
孫を引き取ると同時に、祖父母の養子として戸籍上の親子になるケースもあります。
これは、母親の再婚によって、孫の戸籍をどうするのか・・という問題を考えると自然に行き着くことだと思います。
母親が再婚相手の籍に入ったとしても、子供は再婚相手と養子縁組しなければ親子の姓がバラバラになります。
法律的な問題は複雑なので、素人が説明するのは避けますが、ややこしいのです。
ただ、もしもお孫さんを引き取って、そのまま自分たちの暮らしている家を継がせようと考えているのであれば、早めに養子縁組の手続きをすることをおすすめします。
その理由は、孫に財産を残すためです。
例えば、子連れ離婚した娘が再婚するときに、孫は祖父母の家で暮らすことになり、母親と離れて生活していたケースです。
娘のほかに相続人がいない場合は、祖父母の残した財産はすべて娘が相続します。
祖父母としては、孫に自分たちの土地家屋を含めて相続させたいと思っていたのですが、養子縁組の手続きをしないまま亡くなってしまいます。
娘は自分が実家の土地家屋も含めてすべて相続したとしても、いずれ自分が亡くなるときに子供に相続させれば問題はないと思っていたのです。
ところが、娘の再婚相手が実家の土地を売却しようと言い出したのです。
祖父母が残してくれた家を守りたい孫ですが、養子にもなっていないし、遺言状も何もないので、法的にはどうすることもできません。
母親の再婚相手は、今までは実家の財産のことなど口出すするような人に見えなかったのに、祖父母が亡くなった後に本性が見えたのです。
これは私の友人の話です。
友人は「家族の間で話し合えば、もめることなんてないでしょ」と甘く考えていたのです。
心情だけでは法的なルールは変えられないので、後々になって困ることがないように、早めにできることはしておきましょう。
まとめ
自分たちの子供が巣立って行ったあとは、夫婦だけで静かに暮らすのが理想だと考えていても、孫の可愛さは格別です。
親子が一緒に暮らすのが自然ではありますが、離婚や再婚など、子供を取り巻く環境が激変すれば、孫が心配でたまらない気持ちになるでしょう。
真剣に引き取ることを考えるのなら、一時的ではなく、先のこともしっかり考えて覚悟をもたなければできないことですよね。