近居は、夫や自分の実家からほど近いところに生活の基盤を置くことです。
嫁姑の関係を悪化させないためにも効果がありそうですし、実の親子でも一緒に暮らしているとトラブルになることもありますからね。
ですが、近居婚というのは夫婦間のことです。
別居婚や週末婚など、夫婦が一緒に暮らさないことを選択するケースは以前からありました。
そこには双方の仕事の事情や家族の事情などがあって、一緒に暮らさないことを選択しているケースが多かったという背景があります。
ですが近居婚は違います。
一緒に暮らそうと思えば何の問題もなく同居できるのに、お互いが行き来するのに不便のない近距離でわざわざ別々に生活するのが近居婚です。
今回は近居婚のメリットとデメリットを比較して、夫婦のカタチの多様性について考えてみます。
近居婚のメリット
近居婚には様々なメリットがあります。
結婚している夫婦は同居するのが当たり前という考え方を一度頭から消してしまえば、色んなメリットが見えてくるようです。
実際に近居婚をしている人が感じているメリットを見てみましょう。
家事分担のストレスがない
結婚しても仕事を辞める女性は少なくなっていますが、共働きになると家事の負担は女性が重くなります。
どんなに理不尽で不公平だと思っていても、男性の頭の中には「家事は女がやるもの」という意識が根強く残っているのです。
「俺は家事を手伝っている」と偉そうに言っていても、実際にはゴミ出しくらいしかやっていないという人もいるでしょう。
家事分担を公平にするためには、同居しないのが一番確実です。
A子さんは結婚後に同居してすぐに離婚した姉の経験を参考にして、同じマンションの階違いの部屋でそれぞれ生活することにしました。
お互いの部屋の鍵は持っているけど、緊急時以外は使わないようにルールを決めて、それぞれが独立した生活をしています。
おかげで家事分担のことで喧嘩になったことは一度もないそうです。
夫の部屋が汚れているのを見ると掃除してあげないと可哀想かな・・と思っていましたが、自分だけの空間なので思った以上にキレイにしていて、休日は一緒に料理を作って食事をするという結婚生活です。
家事分担のストレスがないのは大きなメリットだと思います。
出産後も仕事に早く復帰できる
核家族では子供を出産した後の仕事のことで頭を悩ませます。
B子さんのケースは、B子さんは実家で母親と暮らし、夫は妻の実家からほど近いところで生活するというパターンです。
B子さんは2人姉妹で、父親が他界しているため、母親を一人で置いて出るのが心配になったことが近居婚を決めた理由です。
夫も実家で同居することも考えたのですが、夫は人見知りで妻の母親と同居するのは気を使ってストレスになりそうだと考えて近居婚にしたのです。
おかげでB子さんは出産後も2か月で仕事復帰できて、実家の母親には保育園に預けられるまでほとんど世話をしてもらったそうです。
保育園に入っても、病気などで休むこともあるので、やはり安心して任せられる母親と同居しているのは良かったと思っているようですね。
週に1度くらいのペースで夫は実家に泊り、B子さんも休日前夜には子供と一緒に夫の住んでいる部屋に泊まるので、プチ旅行みたいで子供も楽しんでいるようです。
在宅で仕事しやすい
働き方が多様化しているので、在宅で仕事をする人も多くなってきました。
ですが、自宅の中に仕事をするスペースを作らないと集中できないこともあるでしょう。
仕事場を自宅から近いところに作ると、集中したい時にはそのまま仕事部屋で過ごせますから便利でしょう。
C子さんは夫が会社を辞めて自宅で仕事を始めたのですが、自宅なのに仕事している夫に気を使って寛げなくなってしまったようです。
仕事をする部屋として徒歩3分の所にワンルームを見つけると、仕事もはかどって一緒にいる時間が短くなっても新婚気分で倦怠期知らずにのようです。
夫の方も仕事しやすい空間が確保できたので、仕事もはかどってメリット感じるようです。
近居婚のデメリット
近居婚のメリットだけを見ていると、いかにも近居婚が理想形のようみ見えてしみます。
でもそんなことはありません。
デメリットにも目を向けないといけませんよね。
経済的に無駄が大きい
近居婚は同居に比べると経済的には出費が多くなります。
住居費用も夫婦、世帯向けの賃貸物件の家賃よりも単身者向け2部屋の方が高くなることが多いです。
光熱費なども基本料金が2倍になりますから、双方の収入に大きな差があると、夫婦の間に生活レベルの格差が出てしまうこともあるので、それがトラブルのタネになることもあるでしょう。
夫婦で将来のためにお金を貯める目標があるとか、家を買うために頭金を作りたいとか、お金を一円でも多く貯めたいのなら、近居婚は向かないと思います。
子供の気持ちが安定しない
近居婚は、子供にはそれほど負担になるわけじゃないと思いますが、小学校以上になると他のお友達と自分の家では、「何か違う」という疑問を持ってしまい、それが気持ちを不安定にすることがあります。
一人親で暮らしている子供も多いので、そんなに難しく考える必要がありませんが、感受性の鋭い子供には手厚いフォローが必要になることもあるかも知れません。
仲が悪い両親ではないということをよく見せてあげるように気をつける必要があります。
浮気や不倫のリスクが高い
近居婚はお互いの空間を持つことができるので、他人同士の夫婦が同居することで生じるストレスを軽減する効果は期待できます。
ですが、それだけに目の届かないところでは浮気や不倫しやすいのは間違いありません。
過去に浮気をしたことがあるのなら、近居婚はおすすめしません。
近居婚の選択はライフステージで考える
近居婚にはメリットもデメリットもありますが、それぞれのライフステージで考えてみるのが一番だと思います。
熟年になって離婚はしないけど別居する卒婚もやっと認知されるようになってきたので、結婚したから夫婦は一緒に生活するのが常識だと考えずに、新婚期間、子育て期、熟年、老後とライフステージが進む間に近居婚という期間があっても良いのではないでしょうか。
まとめ
それぞれの実家との近居よりも夫婦の近居婚がこれから増えるかも知れません。
生涯未婚率が高くなる一方ですが、近居婚という自由な夫婦のカタチが世の中に広く受け入れられるようになれば、結婚に対して抵抗を感じなくなる人も増えてくれるかも知れませんね。