養育費を払う人が亡くなってしまったら?子供の暮らしは救済される?

家族

小さな子供を連れて離婚したことを伝えると、「慰謝料は?養育費はどうなの?」と聞いてくる人がいます。

慰謝料は相手に離婚の責任があるなら要求できますけど、それなければ慰謝料はありません。

養育費に関して言えば、夫婦のどちらに離婚の原因があるかどうかに関係なく、親ですから養育義務はあります。

当然のことなのに、「養育費は?」と聞かれることはあるのは、それだけ養育費を受け取れないケースが多いからでしょうね。

養育費はどんな理由があっても支払い義務から逃れることはできないはずなのに、養育費を払わない人は70%~80%もいます。

これも大問題なのですが、今回は養育費を支払う側が亡くなったり、失業したりして支払えなくなった場合の問題を考えてみました。

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養育費を払う人が亡くなった場合

養育費の支払い期間はお互いに話し合って決めるのが基本です。

支払期間や金額に折り合いがつかなかった場合は、家庭裁判所で調停の上で決めることになります。

一般的には20歳までが多いですが、大学を卒業するまでというケースもあります。

養育費をきちんと支払ってくれる人が少ないとはいえ、ちゃんと払っている人もいますから、離婚しても親としての責任を果たしてくれるのは子供にとっても幸せなことです。

しかし、どんなに本人が支払いたくても、病気になって収入がなくなるとか、リストラなどで失業してしまうこともあります。

そのような場合は、養育費の支払いが滞っても仕方ないことです。

いくら裁判所に申し立てしても、収入が途切れた人に対して、お金を搾り取るような指示を出すことはできません。

でも病気や失業なら、また働くこともできます。

収入を得られるようになれば、また養育費の支払いを再開できます。

しかし死亡してしまったらもうそれで終わりです。

養育費の支払いに関する取り決めを公正証書というカタチにしても、裁判所の調停証書というカタチにしても、死んでしまった場合はそれで養育費の支払い義務は終了します。

養育費を払う側が亡くなった場合

「子どもが成人するまでは、養育費を受け取ることができる」

そう思っていても、ある日突然、何があるかわかりません。

人生は一寸先は闇とはよく言ったもの。

公証人役場でちゃんと公正証書を作っても、亡くなってしまった後のことまでは決められません。

しかし結婚していても、突然亡くなってしまう恐れもあります。

結婚していても、離婚しても、養育する親が亡くなることはあるので、その備えはしておきましょう。

例えば遺族年金です。

会社員が加入する厚生年金では、遺族年金があります。

もしも離婚した後でも、父親が亡くなってしまった場合は、子供に遺族年金が支払われることがあります。

一定の条件を満たさないといけないので、詳しいことは社会保険事務所に問い合わせてください。

でも、遺族年金を受け取っていると、児童扶養手当は受け取れなくなるので、遺族年金の金額の方が少なくなる場合は、児童扶養手当の方を選びます。

児童扶養手当は、養育費を受け取っていても条件を満たせば受け取れるので、遺族年金か児童扶養手当がどちらかを選ばないといけないということは、いずれにしても母子家庭には厳しい現実です。

養育費がなくなった時のことを考える

養育費の支払いが突然終わってしまうことがあると、子供の教育費や食費にも影響するので、万が一のことを考えておくことは大切です。

亡くなってしまった人に対して何もできません。

そのようなことも想定して、離婚時に子供の将来を話し合っておきましょう。

生命保険の受取人を子供に指定すると、万が一の場合でも子供にお金を残すことができます。

子どもの教育のための積立保険(学資保険、子ども保険など)は、契約者の保護者が亡くなった場合は、保険料の支払いをしなくても積立金が受け取れます。

生命保険と学資保険を子供のために準備しておくと、離婚後も少しは安心です。

でも、保険の契約者は自由に解約できますし、受取人も変更できます。

もしも相手が再婚して、保険料の支払いができなくなって保険が消滅してしまうこともあるので、離婚時の取り決めとして、保険に関する取り決めもしておくと良いと思います。

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借金を残されてしまった場合

養育費を支払う側が死んでしまった場合、実子は遺産対象者になるので、もしも土地や家屋、預貯金などの財産が有れば子供は相続する権利はあります。

しかし、財産がマイナスだった場合でも、相続しなければいけなくなります。
子どもにとっては迷惑な話です。

その場合は相続放棄できます。

生命保険の受取人に子供がなっていたとしたら、その保険金を受け取ると遺産相続の放棄ができないと思われていることがあります。

しかし保険金は財産ではないので、相続放棄しても受け取ることはできます。

ただ、借金を残すような苦しい生活をしていた場合は、生命保険料の支払いが厳しくなって、契約そのものが消滅していることも珍しくないので、相手の生活状況を時々観察しておくことは必要だと思います。

離婚した相手が死亡した時のトラブル例

養育費を一円も受け取っていなかった友人は、小学生の子供を2人育てながら、苦しい生活をしていました。

離婚後3年経った時に、相手の親から突然連絡があり、元夫が病気で亡くなったという連絡でした。

病気の治療費などで親は経済的にかなり苦しかったようです。

息子が病気になってから、親が代わりに保険金を払っていた生命保険の受取人が孫になっていたため、保険金を半分渡すようにと要求されたのです。

たしかに治療費の負担など、大変だったことは理解できても、孫の将来のことも考えて欲しいこと、本来は支払うべき養育費を一円も受け取っていなかったことを訴えて、保険金を渡すのを拒みました。

離婚して会えなくなった子供や孫のことよりも、自分たちの生活のことを優先して考える人がいるのは悲しいことですが、それが現実なので、子供を守ることをしっかり考えておきましょう。

諦めずに請求することが重要

シングルマザーとして生きている女性たちの多くは、とても苦しい生活をしながら頑張っているので、どうしても日々の生活にいっぱいいっぱいになってしまいます。

養育費の支払いが滞ってしまっても、その度に家庭裁判所などに申し出るのは大変です。

仕事を休まなけれ家庭裁判所に行く時間もなければ、その日の生活のために養育費のことは後回しにしなければ生きられません。

結局、そのまま諦めてしまうケースが多く、逃げ得を許すことになってしまうのです。

養育費の支払い義務のある者が亡くなってしまえば、それで義務は消滅してしまうので、後回しにしてしまえば、後悔することになるかも知れません。

逃げ回っている間に何があるかわかりません。

亡くなることはないとしても、逃げ続けている相手に対して何もしなければ、時効になってしまい請求しても意味がなくなるかも知れません。

もっと厳しく養育費の支払いに関する制度があればいいのですが、今現在はまだまだ支払う側の気持ち次第で逃げ回れる方法があるのは事実です。

子供が成人してしまえば、それで終わりだと思って逃げている父親も多いようですが、不払いだった養育費は借金と同じ扱いになります。

公正証書を作成してあるのなら、定期的に請求する旨を記した内容証明を送りましょう。
請求しないまま5年以上経過してしまうと、時効になってしまいます。

家庭裁判所に行く時間はなくても、内容証明なら自分で作成して送ることができます。

内容証明の書き方の見本はググれば沢山見つかります。

弁護士や司法書士に依頼しなくても、自分でもできることなので、子供のためにも諦めずに請求し続けて欲しいと思います。

まとめ

養育費の取り決めなんてしても、払わない人が多いのが現実です。

泣き寝入り、諦めで苦労しているシングルマザーが世の中に溢れています。

払ってもらっている人はいいよね。。なんて思われているかも知れませんが、ある日突然終わってしまうことがあるので養育費がいかに不確かなものか胸に留めておきましょう。

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