私が子育てに奮闘していた時は、【ワーキングマザー】なんていい感じの言葉はあまり浸透していませんでした。
新しい言葉がどんどん生まれるように、子育てもの常識も変わるのですよ。
たしかに、育児の常識も変わりました。
でも、どんなに時代が変わっても、ずっと変わらないこともあります。
呼び方はどうであれ、働きながら子育てするのは大変なことです。
というのは、日本の女性の置かれる環境がそうさせている可能性があります。
日本のワーキングマザーがどれほど過酷な日々を送っているのかを特集した記事がアメリカの新聞に掲載されました。
あまりにも過酷な日々を過ごす日本の母親たちに対して大きな反響があったようです。
しかし、働きながら子育てするのは同じなのに、なぜ日本の母親たちは苦しんでいる人が多いのでしょうか。
日本の母親が家事と育児に費やす時間
週に5日間、時間にすると49時間働く女性の場合、家事と育児にどの程度の時間を費やしているのか。
あるデータによると平均して25時間くらいだそうです。
休日にまとめて家事をする場合もあるでしょうが、週に25時間を1日に換算すると3.6時間くらいです。
ですが、この時間は家事や育児として目に見える作業のことですから、ほんとはこれ以外にも家にいる間に女性が行う作業はもっとあるでしょう。
それに対して男性は週に5時間弱が平均です。
1日に換算すると1時間にも満たないのです。
ほとんどの家事と育児を女性が全て背負っているのが現状ではないでしょうか。
とは言え、男性も仕事という理由で家に帰る時間を故意に遅くしているわけではないと思います。
たまにはそういう人もいるでしょうけどね。
そこはここではスルーしておこう
そだね、じゃないと話が進まない
22時以降に帰宅する男性が多いので、現実的に家事や育児に参加するのは難しいのです。
これは基本給だけでは生活が厳しいので残業しているケースも含まれますし、報酬に含まれないサービス残業も多いでしょうね。
お互いに精一杯やっているので、夫の家事の時間が少ないことを一方的に責めるわけにもいかず、一人で頑張るワーキングマザーが増える一方なのです。
また、世間体だけ気にしてイクメンのフリをする旦那もいます・・。
通称外ズライクメンです。
ワンオペ育児という言葉が生まれたのも、日本のワーキングマザーの背景を見ればわかりますよね。
日本のお母さんの意識の高さ
アメリカの新聞で特集された働く母親の過酷な環境について、海外の人はどのような感想を持ったでしょう。
まず多かったのは「家事の量が多過ぎる」ことに驚くようです。
朝食こそ1品だけのこともあるでしょうが、夕食にはいくつもの品が食卓に並びます。
それらを調理する時間だけで1時間以上かかるような手の込んだメニューを毎日作っていれば働く女性は大変です。
例えば美食の国フランスでは、働く女性が多いので、冷凍食品のクオリティがとても高く、温めるだけで豪華な食事になるのです。
上手に時短できる環境を作るために、社会も企業も工夫しているのでしょう。
住宅面積が狭いため、毎日のように整理整頓して掃除をしなければ住居スペースが狭くなります。
掃除機を毎日使う割合が高いのも日本特有なのです。
洗濯機も乾燥まで行う全自動を使う家庭は少なくて、何度も洗濯機を回さないと片付かない量の洗濯物をベランダに干して取り込み、それを畳んで所定の場所にしまうまでが洗濯という1つの家事です。
さらに子供たちに持たせるお弁当は、キャラ弁という手の込んだものを作るために早朝からキッチンに立つ母親もいるのです。
キャラ弁を自慢されたことを子供に聞かされれば、働いていることを言い訳にしてはいけないと思い込み、手の込んだお弁当を作るために頑張ってしまうのです。
欧米では、子供のランチはパンと果物だけとか、手の込んだものを持たせることはないので、朝からお弁当作りに時間を割くワーキングマザーはほとんどいないのです。
仕事以外の事務作業が多い
お子さんを保育園に預けている方ならご存知だと思いますが、保育園に提出するものはとても多いですよね。
幼稚園や小学校も多いですが、保育園はとくに多いような気がします。
預けている時間が長いので、子供の健康状態を細かく記録して報告したり、お昼寝用の寝具や着替えなどの準備などやることが山ほどあります。
宿題の確認や、学校との連絡帳など、子供に関わる事務作業に時間を割かなければいけないなど、家事とは言えないけれどやらなくてはいけない作業が数えきれないほどあるのです。
ベビーシッターを使うことの抵抗感
日本のワーキングマザーの過酷な日々を見て、まず欧米諸国の人が感じるのは、「なぜベビーシッターを頼まないのか」という素朴な疑問です。
例えばアメリカでは、州法で子供を一人で留守番させることを禁じる法律があります。
子供だけで外出させると親が逮捕されることもあるのです。
それくらい子供の保護に厳しいのに、日本のワーキングマザーほど追いつめられないのは、ベビーシッターを使うことが当たり前になっているからです。
ベビーシッターは学生アルバイトの定番です。
小さな子供の世話はもちろん、子供の勉強を教える家庭教師的なシッターさんもいます。
日本にもベビーシッターはいますが、アルバイトではなく、きちんと研修を受けた人が職業として行っているので、気軽に頼むには少し費用が高いようです。
ハウスキーパーに家の掃除だけでも依頼すれば、毎日の掃除の時間を省けるのに、なぜ利用しないのかと不思議に思うのは、先進国なのになぜ?と感じる素直な疑問なのでしょう。
世間体を気にすること
いかに日本のワーキングマザーが過酷で過大な負担を強いられているのかを取材した人は、どう感じたのでしょう。
少子化対策のために子供を生んで欲しいと願う社会がある反面、子供を育てながら働く女性に対して理解や協力を惜しまないという雰囲気はありません。
あまりにも無責任に女性に押し付けているのが現状です。
ですが、その反面で日本のお母さんは完璧主義者が多いのではないか?と感じるようです。
掃除もきちんとして、洗濯もまめにして、食事は栄養バランスを考えて何品も作り、お弁当もきちんと作る。
「良いお母さん」と言われるために、必死になり過ぎているのではないでしょうか。
例えば保育園のお迎えにベビーシッターを頼めば、「可哀そう」と陰口を言われそうで頼めないとか。
「ベビーシッターを雇うくらいの経済的な余裕があるなら、働く時間を減らせばいいのに・・」と言われそうとか。
世間体を気にするあまり、効率的に時間を使う手段を諦めてしまうのです。
世間体を気にするのは日本人らしいことです。
それは日本の良さでもありますが、そろそろ考え方を変えないと、働く女性にだけしわ寄せが集まるだけですね。
炎上したポテサラ論争が象徴する社会
少し前のことですが、SNS上で大炎上になった「ポテサラ論争」をおぼえていますか?
スーパーの惣菜コーナーで、幼い子供を連れて買い物していた女性が、ポテトサラダを手にした時に近くにいたシニア男性から「母親ならポテサラくらい作ったらどうだ」と言われたのです。
それを近くで見ていた女性がSNS上にアップしたことで、ポテサラ論争はテレビの情報番組でも取り上げられる事態になったのです。
ポテトサラダは自分で作った方が美味しいことはわかってても、かなり手間がかかります。
私はポテサラを作る時は午前中から仕込みをはじめるくらいなので、幼い子供の育児をしている方なら、惣菜コーナーのものを上手く利用するのは工夫の1つです。
心無い言葉をぶつけた高齢男性は、ポテトサラダを作ったこともないのではないでしょうか。
「母親なら」という言葉も多くの母親たちを怒らせたと思います。
そんな雑音は耳に入れずに、自分を苦しめない生き方の工夫をすればいいだけだとわかっていても、やはり言葉が胸に突き刺さってショックを受ける人もいるはずです。
母親に対して求めるものが多過ぎるので、今のままでは日本のワーキングマザーは潰れてしまうのではないかと心配になってしまいますね。
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まとめ
少子化と同じように高齢化も問題になっていますが、少し前は高齢の親の介護をヘルパーに任せたりすることは薄情な子供だと思われそうで・・と世間体を気にしていた人も少なくありませんでした。
ですが、今は逆に自分たちだけで介護を抱え込むのは無理だという意識が世間に定着しているので、介護のプロの手を借りるのは当たり前になりつつあります。
子育て家事に関しても、そろそろ妻や母親という立場の人だけに押し付ける時代は終わりになってくれることを切に願っています。
高齢者の介護も育児も、誰かの助けを借りなければ、追い詰められてしまいます。
世間体を気にするあまり、自分を追い詰めないようになれると少しは負担も軽くなるのではないでしょうか。