子供がいる夫婦が離婚した後に再婚する時には、子供たちの気持ちを最優先するのが親として当然だと思われます。
それは子供が幼い時に離婚を経験した私自身が、周囲から言われ続けてきたことです。
ただ、子供たちが成長すれば、きちんと親と話し合うこともできます。
もしも再婚を考えた時に、子供たちが賛成してくれれば、自分の幸せも求めるのは悪いことではないはずです。
しかし、問題は子供たちの本心です。
私は経験が豊富だと思われているので、再婚について相談されることがあります。
今回は、子連れ再婚の悩みを相談された件を考えてみました。
再婚に賛成する子供の本心
子持ちのシングルマザーやシングルファーザーが再婚を考えた時、まず子供の気持ちを確認すると思います。
まだ物事が理解できない乳幼児じゃなければ、子供にきちんと話して賛成して欲しいですよね。
ここで考えなければいけないのが、子供が賛成したとしても、それがほんとの気持ちなのかということです。
言葉では賛成してくれたとしても、それは親に気を使っているだけなのかも知れないのです。
その本心を親に見せないようにしているのに、見抜けないまま再婚に踏み切ってしまうのは、子供にとって不幸な結果を招く恐れがあります。
あるシングルマザーの話から、子供に再婚の話をするときの注意点を考えてみたいと思います。
思春期の子供は本心を言わない
中学生と小学5年生の娘2人のシングルマザーのA子さんは、1年ほど前からバツイチの男性と交際しています。
彼には小学校5年生の息子がいて、実家の親にサポートを受けながらシングルファーザーをしています
お互いに再婚を考えていて、小学生の子供たちが中学に上がるタイミングで入籍をして同居を始めようと計画しています。
A子さんの娘2人と彼とその息子5人で何度か食事をしたり、少しずつ交流をしながら時間をかけて距離を縮めようと考えていました。
娘2人に再婚のことを相談すると、大喜びという感じではないにしても、賛成してくれたので安心していたA子さんでした。
しかし、A子さんの母親(祖母)に上の娘が「ほんとは嫌だけど、ママが再婚したいなら仕方ない」という本心を話していたのです。
それを聞いてしまってからは、再婚しても良いのかどうか迷いが生じてしまったようで「私が自分の幸せを考えるのは母親失格なのか」と悩んでいるのです。
A子さんから相談を受けた時、私が彼女に言ったのは「母親を大切に思っている子供たちほど、本心を言わない」ということでした。
娘さんたちは、母親がシングルマザーとして必死に働いているのを一番近くで見ているのです。
そんな母親が自分の幸せを考えることに対して、反対なんて言えないのでしょう。
年齢が低ければ、本音を見せることもあるでしょう。
ですが、女の子なので小学校高学年になれば大人の事情も理解し始めます。
まして中学生の娘さんは、自分の本心を見せることで母親の邪魔をしてはいけないと思い込んでいるのではないでしょうか。
ですが、お祖母ちゃんには思わず本音が漏れてしまったわけです。
子供たちの本心を知ってしまった
A子さんの娘さんは、今でも母親の再婚に賛成している様子を見せて、「ママの幸せを応援する」と言ってくれています。
本心を知ってしまっただけに、娘さんに応援されるたびに胸が痛くなるようです。
そんな気持ちのまま再婚しても、幸せになれないのではないか・・という思いも頭をよぎることが増えてしまったので、彼女は再婚の時期を決めるのを考え直すことにしました。
ただ、それを彼に伝えると別れることになりそうで怖い気持ちがあり、伝えていないそうです。
しかし、同じ子供を育てる親同士でもあるので、子供の気持ちを考えて出した結果であれば理解してもらえる可能性が高いとアドバイスしました。
もしもダメだった場合は、悲しいけれどその再婚は諦めた方が良いのではないかとも言いました。
自分の幸せを求めることは悪くないけど、そのために子供たちがガマンして生活することになれば、結局は母親として苦しむことになります。
お互いに子供たちが成人して、それぞれ自立するまで交際を続けていれば、その時に再婚しても遅くないのではないかというのが、私が思ったことでした。
子連れ再婚の厳しい現実を考える
子供を連れて再婚するのは、母親も父親も悩み抜いて決断することだと思います。
しかし、現実はそんなに簡単じゃないので、子連れ再婚しても問題が続出するでしょう。
とくに女の子の場合は、母親がしっかりと守り抜く覚悟がないのなら、再婚は考えて欲しくないです。
私の周りでも、母親の再婚相手から一生消えないような深い心の傷を残された人が複数います。
A子さんの娘さんも、頭では母親の再婚を応援してあげたいのでしょうが、何か本能的に嫌がる気持ちがあるのではないかと思います。
ほんとうに愛し合っているのなら、子供たちが自立するまで、恋人同士として付き合っていても幸せを感じられるはずです。
お互いに相談できる相手として、支え合いながら子供の成長までゆっくりと愛を育てても良いのではないでしょうか。
再婚の目的を整理してみよう
子供は親に気を使って再婚に賛成する様子を見せているけれど、本心では賛成ではないのであれば、やはり無理に再婚はできないと考えるシングルマザーが多いと思います。
でも、それはとても良かったのではないでしょうか。
子供がきちんと自分の気持ちを見せたから気が付いてあげられたのです。
もしも年齢が幼ければ、子供の気持ちを知るのは難しいですよね。
親の決めたことに従がうしか生きる方法のない乳幼児を連れて再婚する場合は、親の決断によって子供の人生が左右されるので、一時的な恋愛感情に流されずに、相手を見極めなければいけません。
子供が自分の意志を誰かに伝えられる年齢になっているのは、不幸な結果を生み出さないためにも良かったと考えましょう。
子供の本心を知るきっかけを得たのなら、この機会に再婚の目的をきちんと整理してみてはどうでしょう。
子連れ再婚には、数多くの問題が起こることが予想されるので、理想通りにはいかないと思うのです。
目的を明確にすることで、迷いもなくなるかも知れません。
生活の不安を解消するため
母子家庭や父子家庭の収入は二人親世帯よりも平均して低いため、生活の不安を抱えている人が大半です。
とくに母子家庭は厳しい生活を強いられていることが多いため、安定した生活のために再婚を希望する気持ちは痛いほどわかります。
終身雇用のようなつもりの再婚が果たして成功するのか、少し不安もあるはずです。
生活のためだけで愛情がゼロというわけじゃないとしても、主な目的が生活の不安を解消するためであれば、本気で就職と同じような覚悟で妻としての業務をしないと相手にも悟られるでしょう。
両親揃った家庭を作りたい
一人親の家庭は、やはり子供が寂しそうだから、両親揃った家庭を作ることが目的の再婚を考えているとすれば、子供が賛成してくれないと意味がありません。
子供のための再婚であれば、賛成してくれる時まで待ちましょう。
時間をかけて相手との関係が構築できれば、心から賛成してくれる日が来る可能性もあると思います。
老後のことが心配だから
子供たちを育てるために必死で頑張って生きた後のことを考えると、すごく心細くなりますよね。
だからといって、子供に負担をかけるのは親であれば望まないでしょう。
そういう老後の不安を抱える者同士の再婚であれば、子供が成長してからでも良いでしょう。
子供が幼いときから老後のことを考えて再婚するのであれば、子供が反対しない相手を探さないといけませんよね。
子供のためではなく、自分のための再婚なので、子供が巻き込まれないためにも相手選びは重要です。
子供の心が変わったときの対応
一度は親の再婚に本心から賛成してくれたとしても、それが必ず続くとは限りません。
例えば、結婚を目前にすると、様々な不安から心が不安定になってマリッジブルーになってしまう人もいます。
自分で決めた結婚なのに不安になるくらいですから、親が決めたことによって生活が激変する子供の気持ちが揺れるのは当たり前だと思ってください。
もしも子供が「やっぱり嫌だ」と言い出した時に、
「賛成したから話を進めているのに」
このような言葉で子供を責めるのはやめましょう。
「もう一度ゆっくり話をしよう」と、答えを急かさずに子供の心に寄り添ってみましょう。
どんな生活になるのか不安なのは、親も同じだと思います。
一緒に不安を乗り越えられるように、子供の心を置いていかないようにしてほしいと思います。
子供が本心を隠しきれない
再婚に賛成してくれたはずなのに、本心では嫌がっていたことに気が付いたのは、子供が本音を誰かに打ち明けたから・・。
これは、子供が本心を気付いて欲しいと思っていても、親側に届かないので、外側から知る結果になってしまうのです。
言葉では「再婚してほしくない」と言えないのは、親の幸せを願うからです。
ですが、よほど自分の気持ちを押し隠すのが上手いわけじゃないのなら、きっと言葉や行動に本音が現れているでしょう。
それに気が付かないのは、親が「見たくないものは見ない」と無意識にスルーしているからではないでしょうか。
子供が発しているサインは、自分にとって都合が悪くても、見て見ぬふりはやめましょう。
きちんと話を聞いてあげれば、不安も少しは解消されるはず。
子供が発しているサインは、どんな小さなことでも見逃さないようにしてあげて欲しいのです。
まとめ
シングルマザーもシングルファーザーも、親としての幸せを感じる余裕もなく、毎日を必死で生きているのだと思います。
だからこそ、お互いに支え合うパートナーを見つけたいと思うのは自然な気持ちでしょう。
でも、絶対に忘れてはいけないのは子供たちの気持ちです。
子供たちは、本心をなかなか言いません。
子供たちが心の中にあることを素直に話せる人がいればいいのですが、そういう人がいないのなら、表面上の言葉や態度だけで判断しないようにしましょう。
本音を引き出せるように、時間をたっぷりかけることが大切ではないでしょうか。